横浜バレエフェスティバル 感想レポ
7月21日に横浜バレエフェスティバルに行ってまいりました!
今回は第4回ですが毎回観に行っている公演。
以前は2日間開催のときもありましたが、今回は1日のみで。バランスよくクラシックとコンテも詰め込まれた充実したプログラムでした。
プログラムと共に気になった演目のレポをしていきます~
第1部〈フレッシャーズガラ〉
最初は若手を中心に構成されたプログラムです。プロというより将来有望な子たちって感じですね。第1回では確か菅井さんや二山さんがここで出演していましたよね。
ちなみにガラの前にオープニングとして全員が出演して軽く踊ります。
「スーブニール・ドゥ・チャイコフスキー」(振付:遠藤康行)※新作
川本真寧 縄田花怜 中村りず 竹内渚夏 丸山萌 ※ジュンヌバレエYOKOHAMA
森春陽
「眠れる森の美女」第3幕よりオーロラ姫のヴァリエーション
升本果歩
「SOLO²」(振付:遠藤康行)
橋本杏梨&生方降之介 ※ジュンヌバレエ
「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
栗原ゆう 松浦祐磨
最初の作品は前回から始まったプロジェクト ジュンヌバレエYOKOHAMA の作品。
前回はがっつりコンテだったんですが、今回はネオクラ。個人的には今回の方がよかったと思います。全体のレベルが上がっていたのはもちろん、他に比べ絶対的な経験値の足りないこの子たちが踊るには慣れているクラシックに近い形の方が良いですかなぁと。ただ、クラシックの古典作品だとプロに見劣りしますから今回の形がベストだと思います。
遠藤さんの振付からこの子たちを育てようという心意気を感じました。それぞれに合ったソロパートが用意されていて、全員が無理せずに成長出来るような作品だったと思います。もちろん、メンバーのレベルが高いので、他のジュニアの子の作品に比べて明らかに面白いし難易度の高い作品ではありました。
ただ、年齢差が結構ありそうで、どうしてもそこの年代(中学高校生)の差は明らかに出てしまっていたかなぁと。まぁ、ジュニアを長期的に育てるという意味においては、そこを気にせず続けてほしいです。
遠藤さんの作品はお洒落でカッコいい印象です。衣装も振りもパリオペっぽくって素敵でした。
「ドン・キホーテ」
栗原ゆうちゃんと松浦祐磨くん。
2人ともまだプロではありませんが、栗原ゆうちゃんは9月からバーミンガムロイヤルに入団で、松浦くんも9月からロイヤルの留学が決まってます。ちなみに松浦くんはまだ15歳、若い!
前回のパリの炎でも驚かさせれた松浦くんのテクニックは今回も本当に凄かったぁ。フェッテの途中でバランスとっちゃうのとか本当に凄過ぎ。テクニック=たくさん回るだけと考えていなさそうなところに好感が持てます。
2人とも難なくこなせているのがすごいです。初々しさはあるものの不安定さではない。この2人が5年後くらいにワールドプレミアの部で踊りに戻ってきたら胸熱ですよね
第2部〈ワールドプレミア〉
「Dido and Aeneas」(振付:シディ・アルビ・シェルカウイ)※日本初演
オステアー紗良 加藤三希央
「What We Did for Love」(振付:柳本雅寛)※新作
柳本雅寛 八幡顕光
「グラン・パ・クラシック」
金原里奈 二山治雄
「シルビア」よりパ・ド・ドゥ(振付:ジョン・ノイマイヤー)
菅井円加 ニコラス・グラスマン
「Dido and Aeneas」
ディドとエネアスとはそもそもヘンリー・パーセルによって作曲されたオペラのことだそう。そんなこと知らなくても十分楽しめました。笑
照明の使い方が素敵でした。誇張しすぎず、でも変化があって、作品の世界観を上手に作り出していましたね。
2人の踊りもとっても良かったです。柔らかさがある踊りでした。
「What We Did for Love」
相変わらず柳本さんの作品は最高に楽しかったです。ご本人は休憩タイムと仰っていましたが、小さい子やあまりバレエを知らない人がいる公演ではこういうわかりやすく面白い作品があることで中だるみせず観られるので本当に良いと思います。
あと今回の相棒の八幡さんの歌が上手すぎでした。近い将来ミュージカル俳優になるんじゃないかな?と思うほど。笑
一見コメディ要素が強めなんですが、それでも流石2人とも一流ダンサーですので、踊り出すとキレキレでした。歌ったり喋ったりしながら、あそこまで複雑なことを踊れるって凄いんだけど、ちびっ子には伝わってないだろうなー笑
ちなみに、柳本さんが何度も八幡さんの身長の小ささを弄っていましたが、確かに小さかった。笑
あと、柳本さん、加藤くんが大好きなのか、やけにボクサー(単に自分の作品の衣装がボクサーぽかっただけ)だと弄って、コーダではそのボクサーコートを奪って踊ってました笑。来年は加藤くんが相方になるのかも…笑
「グラン・パ・クラシック」
二山くんと金原さんのグランパも圧巻でした〜
今回のプログラムの中で一番のクラシックな演目。プロ(2部以降)では若干コンテが割合を占めていたんですが、このグランパがここまでシッカリ踊って魅せてくれたおかげで、クラシックに物足りなさを感じることが無かったです。この難関パドドゥを入れてしまうあたり、全体のバランスの取り加減も最高です〜
二山くんの踊りが以前よりだいぶクラシカルな踊り方になってました。パリオペ仕込みですよね〜 二山くんは来シーズンもまたパリオペ短期契約ですが、頑張って正団員になってほしいです。ちなみにコーダで前後開脚のジュッテをやっていたんですが、開きすぎてて何やってるのか正確にはよく分からなかったです笑。観客も結構盛り上がっていました。
金原さんも流石でしたね。アダージオからコーダまで崩れる気配もなく、軽々こなしちゃって魅せちゃって素敵でした。金原さんも上品な踊りで2人合ってました。
「シルビア」
菅井さんが圧倒的。ノイマイヤーのシルビアは新鮮でした。感情を表に出したシルビアでした。ノイマイヤーのシルビアが見られるっていうのがガラコンの良さですよね。こういう作品をやってしまうと映像化はほぼほぼ無理でしょうから、やっぱりガラコンはなるべく行くべきです。
コンテだと菅井さんの身体能力の高さがよく表されて良いんですが、クラシックのシルビアも観たかったです。ローザンヌ前までは結構コンクールでシルビア踊っていたので余計に。
第3部〈ワールドプレミア〉
「半獣」(振付:遠藤康行)
「ロメオとジュリエット」よりバルコニーのパ・ド・ドゥ(振付:アンジェラン・プレルジョカージュ)
津川友利江 バティスト・コワシュー
「パリの炎」よりグラン・パ・ド・ドゥ
近藤亜香 チェンウ・グオ
「半獣」
一気にここで空気が変わったと思います。やっぱり若手の勢いとか雰囲気とかも良いけれど、ここに来て大人な余裕がある踊りは流石だなと。
どちらが良いというわけじゃなくて、前後半できちんと両方のダンサーがバランスよく配置されていたのがよかったです。
パンフレットに「美と官能の世界」と記されていたんですが、その通り大人な世界観でした。
「パリの炎」
大トリがパリの炎という攻めたプログラム。
ここのペアは夫妻なんですが、さすがな息の合った踊りで。 お2人の他のパドドゥも見てみたいです。
パリの炎ってテクニックの入っているけれど、複雑さが無く短いし組む場面も殆ど無いからどうしても簡単なパ・ド・ドゥに入れられがちで。だけどグランフェッテもあるし、回るし飛ぶし、本当はキツイ作品です。
そんな作品でキチンと公演を締めるテクニックの強さが光っていました。